解決事案
2026/07/17

従業員との金銭トラブル

事案の概要

 A社は、従業員Bが入社するにあたって金銭的な余裕がないとのことであったため、Bに対して引越費用代を貸し付けた。その後も「生活が苦しい」などを理由にBに対して数万円ずつお金を貸し、総額は60万円程度となった。

 Bは、約2年間在籍した後、同業種で起業するために退職することになり、A社が退職時に返済を求めると、「60万円も借りていない」と「最初のお金は援助してもらったもの(もらったもの)」などと主張し始めた。

 借用証書もなかったことから、A社は今後の返済について不安に感じ、弁護士へ相談することにした。


解決までの経緯

 A社の代表者から詳細な状況をヒアリングしたところ、銀行の振込履歴等から、総額がA社主張のとおり総額60万円程度であることは客観的に明らかであった。

 また、BがA社に入社をした経緯についても、職を失って困っていたBの強い要望に応じるかたちで、温情的な意味合いもあってA社の代表者が採用を決断したというものであった。要するに、A社にとってBはお金を援助(贈与)してまで採用したいほどの人材ではなかった。

 弁護士は、A社がBに贈与をする理由はない=A社からBへのお金の交付は返済を前提とした貸付である、ということを内容とする内容証明郵便を郵送した。

 Bは当初、返済を拒否するような姿勢をみせていた。そこで、振込履歴等の資料を示すとともに、あらためてA社の見解と根拠を丁寧に説明したところ、最終的にはBが全額の支払を約束したため、公正証書を作成し、無事解決となった。

 

弁護士の目

 近い関係にある人との契約については口頭による合意のみで、書面を交わしていないケースが多くあります。毎日顔をあわせている人間同士だと、ある程度の信頼関係があったり、あまり大げさなことはしたくないとの心理が働くためです。

 しかし、いつまでも信頼関係が維持されるとは限りません。時間が経過すると合意内容も曖昧になります。お互いが自分にとって有利になるように記憶を上塗りしていくこともあります。

 書面を残さなかったがゆえに、言い争いになり、無駄な労力を費やし、最悪泣き寝入りせざるをえなくなります。本件のように、借用書のような直接的な証拠がない事案でも①振込の記録、②当事者の関係性などから「返還合意」があったことを立証できそうな場合もありますが、やはり、直接的証拠を確保しておくにこしたことはありません(なお、昨今では、契約書ではなく、LINEなどのメッセージアプリの記録も有力な直接証拠として法廷に現れることが多いです。)。

WEBからのお問い合わせ

© 弁護士法人ラグーン(企業法務サイト)